川崎七音著『ぼくらが死神に祈る日』読了しました。
ジャンルが青春ホラーだったので、ちょっと怖いのかなと思いながら読みましたが、これはホラーなのか・・・?というちょっとした疑問がw
久し振りに青春モノを読みましたがやっぱりいいですね。好き。
書籍情報
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『ぼくらが死神に祈る日』
著者:川崎七音
出版:株式会社KADOKAWA(メディアワークス文庫)
発行年:2021年
ISBN:978-4-04-913752-1
読書メモ ※ネタバレ有
登場人物メモ
田越作楽(たごえ・さくら):主人公。高校生。モーンガータに姉を生き返らせてもらう。
田越葉月(たごえ・はづき):作楽の姉。交通事故で亡くなる。
富士見伊織(ふじみ・いおり):作楽の同級生。モーンガータと契約を交わしている。
溝口由紀(みぞぐち・ゆき):伊織の親友。
仲町渚(なかまち・なぎさ):作楽の同級生。モーンガータといくつも契約を交わしている。
モーンガータ:教会跡地の死神。寿命と引き換えに願い事を叶えている。金平糖が好き。
交通事故で姉(葉月)を亡くした作楽。
以前葉月から聞いていた「教会跡地の神様」に、姉を生き返らせてほしいとお願いをする。
モーンガータと名乗ったその神様は死神で、寿命と引き換えに願いを叶えてくれることに。
作楽に残された寿命は四ヵ月。契約書は「逆さの十字架」。
生き返った姉だが、様子に異変があらわれるように。”生きていることに違和感を覚えている”らしい。
作楽の残りの命の使い方 ”姉さんのように生きて、姉さんに代わって誰かを救う”
p.53 本棚をのぞくのは、そのひとの脳みそを見るための一番近道だと思う。(作楽)
ある日突然クラスに紛れ込んできた富士見。モーンガータが関わっていると気付く作楽。
富士見の願い「一年C組から自分を消してほしい」 制服を盗まれ、注目されてしまったのが原因。
伊織の親友、溝口に呼び出された作楽はハサミを突き付けられる。(伊織を心配して?)
p.86 「助けるって、そのひとが生きるのを手伝うってことだしね。だから簡単じゃない。生きるのって、実はとても難しい」(葉月)
富士見の制服を盗んだのは溝口。伊織のことが好きだったから。
契約書を破棄した富士見。
富士見曰く「存在が濃い」とされる仲町。モーンガータと複数の契約を交わしている。
一日デートすることで12個の契約を破棄することになった仲町。
人助けをしてきて偽善的だとか自己満足だとか言われたことはある? と問う作楽に、たくさんあると答える葉月。
「善だろうが偽善だろうが、どうでもよかった。ただ、覚えていては欲しかった。いざというとき、頼れる誰かがいるって。」
「わたしは誰かの、いざというときの一人になりたかった」
姉弟の小学生のころの話。ムタという飼っていた犬が亡くなる前日の夜。
その時葉月が決めたこと。「弟に恥じない人間になろうって。弟に負けないくらい優しい人間になろうって」
それが葉月にとっての”お守り”。自分をつくることになった原風景。
仲町の最後の契約を破棄するため、家に行くことになった作楽。
仲町「きみがあたしのお守りとやらになってよ」
作楽「ずっと一緒にはいられない」「だけどひとつだけ約束できる。僕はきみを嫌いにならない」
最後の契約書はスニーカー。願いは「自分の足を治してほしい」
作楽はその契約だけは破棄することができなかった。
最後の日。教会跡地へやってきた作楽。
モーンガータと葉月が契約したことを知る。葉月の願いは「作楽に寿命を返したい」
契約書を破棄した作楽。葉月が契約したもう一つは「ムタを生き返らせること」。
仲町も最後の契約を破棄し、目立つことが苦手だった富士見は劇の役を引き受ける。
葉月の口癖「最後には、うまくいくようにできている」
感想 ※ネタバレ有
第27回電撃小説大賞《選考委員奨励賞》受賞作。
ということで気になって読んでみたのですが、思っていたよりも好みの作品でした。
何より葉月の考え方がすごく好き。
作中で何度もでてくる「最後にはうまくいくようにできている」という言葉はもちろん、人助けをしている理由が「誰かのいざというときの一人になりたかった」というのがまたいいなぁと。
姉さんのように、と行動する作楽だったけど、葉月がそうなったのは作楽の行動がキッカケだったというのもね。
そういう連鎖はいいね。うん。
自分の指針というか、信念というか、そういうのを「お守り」と表現するのもよかった。
個人的には作楽と仲町の進展を期待したいところですが。どうかな?
仲町の可愛さもたまらん・・・(‘ω’)w
全体的にかなり好みの作品だったので、読むことができてかなり嬉しいです。
なかなか好みの作品に出会うことってそう無いので。こういう出会いは大事にしていきたい。
今作がデビュー作の作家さんなので、今後の作品にも期待!