マンガ『いなくなれ、群青』感想

原作は小説の『いなくなれ、群青』(著者:河野裕さん)。
コミックスは全3巻のものと、1巻完結のものがありますが、どちらも読みました。

原作は未読なのですが、実写映画は見たことがあります。
映画もなかなか良かった記憶があります。

『いなくなれ、群青 Fragile Light of Pistol Star』

全3巻。作画は兎月あいさん。丁寧に描かれているなぁ、という印象でした。絵もかわいい。

『いなくなれ、群青』

1巻完結。作画は京一さん。すっきりとまとまっていて、読みやすかったです。

感想

どちらのコミックスも内容は同じなのでまとめて感想を。

物語の舞台は「階段島」と呼ばれる島。この階段島は「捨てられた人たちの島」だそうです。
誰に捨てられたのか? 一体何のために捨てられたのか?
という疑問はきちんと明かされていくので安心して読めます。

この階段島に真辺由宇(まなべゆう)という女の子がやってきたことで物語が動き出します。

この真辺という女の子、まっすぐすぎて、見る人によっては苦しいなと思わせるキャラクター。
嫌いにはなれないけど、隣にいるとしんどくなりそう・・・と思ってしまいます。
私はそう思いました(^-^;

主人公の七草(ななくさ)は、そんな真辺がこの島にやってきたことが許せない、といいます。
一体なぜ許せないのか? それがこの「捨てられた人たちの島」であることが関係してきます。

階段島には魔女がいるらしいのですが、コミックスでは魔女が直接的に描かれることはありません。
原作ではどうなんだろう・・・読んでいないので何とも言えませんが。
そのうち原作も読みたいなと思います。

ある日、階段島では落書きが発見されます。

「魔女はこの島に過去ばかりを閉じ込めた 未来はどこにある?」
「君たちは鏡の中にいる 君たちはなんだ?」
「失くしものはすぐ近くにある 失くしものとはなんだ?」

意味深なその落書きには銃と星のイラストが添えられていました。
ピストルとスター。これが示すのが「ピストルスター」という星。

ピストルスターは太陽よりも明るく大きい星(光度は約160万倍、半径は約300倍)だそうですが、地球からは見ることができません。

七草にとって真辺はこのピストルスターのような存在だったんですね。
真辺のまっすぐな正義感は眩しすぎて直視できない、と考えると分かるような気もします。

捨てられた人たちの島である階段島。
誰に、何のために捨てられたのか。
終盤になってそれは、自分自身に捨てられたということが明らかになります。
現実世界での自分が成長していく過程で、必要ないと捨てた自分。
それが階段島にいる七草たちでした。

なるほどなぁ、と思いながらこのあたりは読みました。
諦めたり折り合いをつけながら生きてきた中で、それまでの自分を捨てた経験って少なからずあるよね、と。
その捨てた自分が階段島という場所で生きているとしたら。純度の高い「自分」がそこにいるのかも。

作中では階段島で生きづらそうな人たちも、現実世界では楽しく過ごしているのかもしれない。
私の好きなキャラである堀さんは、階段島では口数の少なく、言葉に怯えている女の子ですが、現実世界では友人達と楽しそうにしゃべっているのかもしれません。

まっすぐな真辺がこの階段島にやってきたということは、真辺がそんなまっすぐな自分を捨てたということ。
七草はそれが許せなかったんですね。このあたりのストーリーは結構好みです。よき。

学生時代に読んでいたらドハマリしてそうな作品でした。
とてもまっすぐで、純粋な物語だなと思います。これは小説で読んでみたいですね。
「階段島」シリーズは全6巻なので、ちょっと気合を入れないと読めそうにないですがw

コミックスはさくっと読めるのでおすすめです!
読んだことのない方はぜひ読んでみてください(*’ω’*)

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